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LiRo 社は施工管理、エンジニアリング、建築ソリューションを提供する企業です。同社は、9.11 後のロウアー マンハッタンやニューヨーク ハイライン パークの復興プロジェクトなど、米国のトップ プロジェクトに携わってきました。同社のバーチャル デザイン コンストラクション オペレーション(VDCO)グループは、プロジェクト単位でサポートを提供する専門の組織です。また、同社が VDCO およびビルディング インフォメーション モデリング(BIM)で常に先を行くために必要な、新たなテクノロジー開発の調査も担当しています。
多くの企業では BIM を、より効率的に設計ドキュメントを作成し、設計の品質を向上させるために使用しています。しかし、こうした企業が外部のプロジェクト関係者と自社の BIM モデルを共有することはほとんどありません。代わりに、従来の 2D 図面がいまだにプロジェクトのコラボレーション、成果物、多分野間の調整における基盤として使用されています。LiRo 社は違います。
同社の BIM プロジェクトは、デジタル プロジェクト情報と仮想プロジェクト モデルを使用してコラボレーションを行い、情報を共有するという点で一線を画しています。チームは 3D モデルをコラボレーション、調整作業、ビジュアライゼーション、成果物に利用しています。LiRo 社の VDCO グループは、顧客が自社の BIM に関する標準仕様や要件、契約を作成することを支援し、プロジェクト単位のチームによるサポートを提供しています。また、顧客が自社の組織およびサプライ チェーン全体にわたって BIM に関するプロセスを統合し、制度化するための戦略開発も支援しています。
LiRo 社が現在取り組んでいる BIM プロジェクトのひとつが、ニューヨーク市のイースト サイド アクセス プロジェクトであり、これは現時点で米国最大のインフラ プロジェクトです。完成した暁には、ロングアイランドおよびクイーンズ地区からマンハッタンのグランド セントラル駅を結ぶ鉄道が誕生します。このプロジェクトでは、8 マイルを超える新しいトンネルと、8 区画にまたがるコンコースおよび複数のプラットホームをグランド セントラル駅地下に敷設します。
プロジェクトの設計は数十年をかけて完成しました。最初の設計計画は 1960 年代に、完全に紙ベースでスタートしました。計画の中止と再開を繰り返しながら、2000 年代初頭に 2D CAD ツールを使用した設計が完成しました。
そのすぐ後に開始された建設作業は、現在も続いています。LiRo 社も参加するジョイント ベンチャーは施工管理サービスを提供しています。複数の建設会社がさまざまな部分を担当するプロジェクトであり、25 種類の個別契約が関係し、プロジェクトの設計は 10 万枚にもおよぶ図面に分かれているため、施工管理は困難を極めました。「まるでカギ穴からプロジェクトを覗いているようでした」と Andersson 氏。「誰一人として全体像を把握していませんでした」。
2012 年、イースト サイド アクセス プロジェクトが課題に直面していることに気付いたニューヨーク市都市交通局(MTA)は、LiRo 社の VDCO グループに、以前関与した地下鉄 7 号線プロジェクトでどのように BIM を使用したのか、デモを行うよう依頼しました。デモの後、MTA は同グループにイースト サイド アクセス プロジェクト全体の BIM への移行を委託しました。
イースト サイド アクセスのような巨大プロジェクトを BIM に変換するのは、容易なことではありません。VDCO グループは Revit を使用し、元の施工図を下敷きにしてプロジェクト全体をモデリングしました。結果として 125 を超える相互接続モデルが作成されました。
モデルの精度を最大限に高めるため、LiRo 社は新しい乗客用コンコースを収容することになるマディソン ヤードなど、既存の施設の一部をスキャンしました。「この作業だけで、施工前に対応しなければならない問題が 400 近くあることに気付きました。結果、MTA は再作業にかかったであろう多大な時間とコストを節約することができたのです」と Andersson 氏。
「私たちのグループは 2010 年に編成され、LiRo 社で変化を推進する役割を担っていました。社内全体で VDCO を導入し、LiRo 社を BIM における業界のリーダーへと変革する必要がありました。ここまで長い道のりでしたが、さらに先へと進んでいくつもりです。仮想設計、施工、運用の可能性の扉は開かれたばかりです」
LiRo 社は、主な設計および施工管理案件のすべてで BIM を使用しながら、その革新的なプロセスをさらに推し進めていき、BIM の最新技術を取り入れ、Autodesk Architecture, Engineering & Construction Collection(AEC コレクション)のさまざまなツールを最大限に活用しています。
たとえば、InfraWorks を使用することで、プロジェクト チームが現況の諸条件を踏まえながらインフラ プロジェクトを計画できるよう支援します。また、これ以外のツールも使用して、VR 体験やさまざまな MR(混合現実)テクノロジーを組み合わせて設計モデルのホログラムを作成し、没入感のあるバーチャル プロジェクト シミュレーションを提供します。同社はスキャンから BIM まで一手に引き受けるサービスを拡大し、カメラを搭載したドローンを使用して建設作業の進行状況を確認できるようにしています。また、運用段階ではモデルを別の用途に使用することで、顧客の資産の耐用年数を最大化できるようにサポートしています。