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Touloukian Touloukian

受賞歴のあるボストンの建築事務所がAutoCAD を使用して都市再開発を推進

AutoCAD ユーザー事例

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© Anton Grassl Photography

アダプティブ リユースと最新のグリーン デザインでデトロイトの公園の再活性化に成功

ボストンに拠点を置く Touloukian Touloukian Inc. は、小規模ながらも、大きな実績を上げている建築設計事務所です。デトロイトのダウンタウンにあるビーコン パークの再開発の一環として、革新的なデザインと歴史的な公園の特徴を融合させた Lumen レストランの建物を設計し、賞も受賞しました。AutoCAD と Architecture ツールセットがあれば、密集した都市部での設計、ゾーニング要件の管理、歴史的な景観の維持管理、環境に配慮した設計ミッションへの投資もより簡単になります。

哲学としての建築設計

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざもありますが、従業員わずか 9 人で数々の受賞歴を持つこのボストンの建築設計事務所 Touloukian Touloukian はまさにその例といえます。2003 年に Theodore Touloukian 氏(AIA)によって設立された同社は、公共建築設計や環境に配慮した設計を中心に手掛け、オフィス スペースのアダプティブ リユースから集合住宅の開発プロジェクト、私邸、礼拝堂、19 階建ての建物のほか、ミシガン州デトロイト、ニューヨーク州バッファローなどの都市における都市再開発プロジェクトまで、多岐にわたる実績をあげています。

Touloukian Touloukian の設計では、さまざまな都市コンテキストがその対象になり、それぞれの土地の独自性によって、技術、経験に基づいた質、コンテキストと建築設計との全体的な関係性をさらに高めることが主眼とされます。Touloukian Touloukian は、それぞれの場所ならではの特徴を尊重し、そのような要素を見つけて建築表現につなげるように努めています。

Jared Ramsdell 氏(AIA)は次のように述べています。「当社では全員が設計に関わり、共同作業で設計に取り組みます。設計は、施主のミッションを示すプロジェクト ストーリーを明確にする、自然のサイクルと建築環境において現場の特性と持続可能な特性を結びつけることに焦点を当てる、建造物を建築芸術として表現する、この場所固有の詩情を我々の感性によって支える、市民としての責務を果たす、という 5 つの指針を念頭に進められます」

例として、デトロイトのダウンタウンでのプロジェクトを見てみましょう。Grand River Avenue にある約 1 万平方フィートの荒廃した場所だったビーコン パークは、広大な緑地空間(造園設計事務所 livingLAB のランドスケープ アーキテクトによる)とレストランの建築が融合し、Eater 誌によって「周辺のダウンタウンの建築とは異質の、驚くべき未来的な空間」と形容される場所へと変わりました。是非一度 Lumen を訪れてみてください。

ビーコン パークの Lumen。© Anton Grassl Photography
ビーコン パーク(デトロイト)の Lumen。© Anton Grassl Photography

都心の活性化

建築場所に調和したグリーンでモダンな設計、この LEED Silver (認証申請中)設計は、まぎれもなく Touloukian Touloukian によるものです。Touloukian Touloukian は、このプロジェクトに関する記事で、新しいものと古いものを融合させた方法について、次のように語っています。「モダンなジオメトリの中心は、歴史的なデトロイト G.A.R. ビルと公園の楕円形の芝生に面した大胆な片持ち屋根形状になっており、ルーフ デッキにつながる大階段は歴史的なデトロイトの Book Tower ビルと同一線上にあります」

このような構想は、この建築設計事務所が都市空間の統合にたけていることを確実に示し、歴史あるボストンを拠点としている証でもあります。本質的に歴史的な都市では、空間を再利用したり、建築物を新たに建設したりする場合、広範な許可手続きが必要です。都市の密集地の設計においては、ゾーニングに関する複雑な法律、規制による設計のレビュー、弾力性テスト、歴史的な景観の管理に対応する必要があります。このような場合にこそ、AutoCADArchitecture ツールセットが違いを生みます。

その強みが生きるのは設計プロセスだけではありません。Ramsdell 氏は次のように述べています。「我々は AutoCAD で、プロジェクトのゾーニング サマリーの他、ゾーニングのバリエーション案を示す基本図書や図表を作成します。このソフトウェアがあれば、ゾーニング セットバックや高さのほか、プロジェクトの規模と市民としての責務を伝えるその他の要件をドキュメント化して、視覚化できます。また、プロジェクトの入札段階では、マテリアルの選定や数量積算を正確に行えるように、AutoCAD で作成した図面セットを契約者に提供できます」

ビーコン パークの Lumen。© Anton Grassl Photography
Lumen とそれを取り囲むビーコン パークはビジネスでの利用も可能。© Anton Grassl Photography

コラボレーション環境の作成

Touloukian Touloukian の設計作業はスタート時点から共同作業的なアプローチで行われるため、使いやすくて標準的な基盤が必要になります。Ramsdell 氏は次のように述べています。「プロジェクトでは、専門工事会社との調整が常に必要です。施工図の作成プロセスや現場での設置作業の際には、専門工事会社と直接やり取りすることも多くなります。共同作業のプロジェクトや、現場での取引先との関係構築を楽しみながら行っています。さらに、プロジェクトの設計段階では、専門工事会社と協力し、経済性と美しさを兼ね備えることができるよう、細部を調整します。

[AutoCAD によって]コンサルタント同士のスムーズなインタフェースが作られ、オフィスにおける共通の作業プラットフォームが利用できるようになり、仕事がより簡単になります。計画調査から建設の詳細まで、アイデアを素早く「スケッチ」でき、プロセスや考え方をわかりやすい方法で伝えられます。複雑な情報を正確でわかりやすい方法で伝達できるため、設計だけでなく、最終的には建築の際の効率性を向上させられます」Ramsdell 氏は、さらにこのように述べています。「このテクノロジーがあれば、詳細や複数の分野にわたるマテリアルのつながりを、包括的な設計図書にまとめることができます」

上空から見たビーコン パーク。© Jason Keen
Lumen を中心に、上空から見たデトロイトのビーコン パーク。Touloukian Touloukian は、ゾーニング セットバック、高さ、その他の要件のドキュメント化および視覚化に AutoCAD を活用。© Jason Keen

しかし、常に共同作業であるとはいっても、Ramsdell 氏は実際にどの程度の頻度で AutoCAD を使用して設計を行っているのでしょうか。彼は次のように述べています。「13 年程前の最初のインターンシップ以来、AutoCAD は私の日常的な仕事の一部になっており、毎日 AutoCAD の Architecture ツールセットを使用して建物を設計し、図面を作成しています。ふだんの週は、複数のプロジェクトを管理し、設計者とのやり取りやコンサルタントとの打ち合わせなどを行いその他のプロジェクトにも関与しています」

未来のための責任ある設計

努力は報われます。2017年に、Touloukian Touloukian は Architect Magazine 誌の上位 50 社リストにおいて全国 30 位にランクインし、2016 年から 2 つ順位を上げました。同社はまた、2017 World Architecture News の  Practice of the Year に選出され、2017 American Architecture Prize の Honorable Mention と Professional Firm of the Year Award を受けたほか、2017 年だけでも 8 つのプロジェクトで 19 のデザイン賞を受賞しました。ビーコン パークの Lumen は、同社の仕事の代表例であり、シカゴ アセニアムの 2018 American Architecture Award など、既に 5 つの賞を受賞しています。

AutoCAD なしではすべて達成できなかったとはいえませんが、共同作業を可能にし、迅速かつ正確に作業できるようになったことで、Touloukian Touloukian 全体での業務範囲が広がりました。設計への投資で社会に貢献し、市民として環境に配慮した設計を実現するというミッションを達成できました。

ワークフローを高速化かつ効率化

AutoCAD サブスクリプションには、8,000 以上のインテリジェントなオブジェクトとスタイルを備えた、特殊なアーキテクチャのツールセットが用意されており、建築設計と作図の高速化に役立ちます。

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