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Viewrail は、高品質な階段用部品とカスタムの階段システムを提供する主要メーカーです。エンジニアリング プロセスを迅速に適合させながら、カスタム オーダーや需要の増加に対応しています。Inventor の iLogic を導入してプロセスを最新化し、階段システムの生産を効率化することで、カスタムの建築製品を求めるクライアントの需要に応えることのできる環境を整えました。
Viewrail は、かつては週に平均 3 件の階段システムを受注設計・製造していましたが 、エンジニアリング プロセスに設計自動化を取り入れることで、月 150 件のプロジェクトをこなせるようになりました。
Viewrail は、インディアナ州ゴーシェンを拠点に、従来型の木製階段と手摺製品のメーカーとして事業を開始しました。その後、需要の変化に伴って製品の幅を拡大し、金属製とガラス製も取り扱うようになりました。そして今や、世界中に向けて何千種類もの階段設計やスタイルを提供する製造能力を有しています。
こうして培ってきた素晴らしい製品ラインナップを拡大することは簡単ではありません。さらに、市場競争で他社をリードしながらスピーディーな製品ラインナップ拡大を行うためには、スキルのある精鋭チームが必要となります。同社はこれを実現するために、JJ Johnson 氏(COO)と Ryan Rittenhouse 氏(エンジニアリング オートメーション スペシャリスト)のチームを立ち上げました。
階段の自動生成システムを実現したチーム:JJ Johnson 氏と Ryan Rittenhouse 氏(画像提供:Viewrail)
Johnson 氏と Rittenhouse 氏は、3D プリンターの設計を手がける会社から Viewrail に転職し、2 年前に数人のメンバーと研究開発部門における新たな任務をスタートしました。エンジニアリング教育の経験がある Johnson 氏とプログラミング経験がある Rittenhouse 氏は、Viewrail のカスタム オーダー プロセスの最新化を実現する上で理想的なドリーム チームとなりました。
チーム立ち上げの 3 週間後にプロジェクトを開始し、わずか 2 年で前年比およそ 50% 増の事業成長を実現したのです。これほどの成果を達成できるとは、当初だれも予想していませんでした。
建物用の階段システムを設計する際、階段のディテールは建物によって常に異なります。1 つ計測を間違えれば、システム全体の整合性が損なわれてしまう可能性があります。そのため Viewrail は、浮き階段システムの受注設計では、毎回必ずカスタム計測を行っています。
Johnson 氏と Rittenhouse 氏が入社する前は、各受注につき 1 人のエンジニアが、慎重に、手作業で作図していました。その 2D 作図と計算のプロセスには基本的なスクリプトも利用されていましたが、それでもシンプルな階段システムを 1 つ完成させるのに 3 時間から 4 時間かかっていました。さらにスイッチバック階段などの複雑な階段システムでは、計算と作図に数日間かかることもよくありました。
2D 図面と中央ビーム(画像提供:Viewrail)
Viewrail は、リモートで受注設計を行っています。その点で、現場で数週間かけてカスタムの階段システムを構築していく同業他社と異なります。この方法で特に課題となるのは、顧客から確実に正確なデータを受け取ることです。モデルを完璧に作図しても、後で更新された計測データが顧客から提供されれば、再び最初からやり直さなくてはならなくなる場合もあります。
Viewrail の浮き階段は発売からすぐに人気となり、エンジニアリング サービスが追いつかないほどに需要が高まりました。同社がこの需要に対応するためには、大量のエンジニアを採用するか(しかしそうすれば純利益に大きな影響が及びます)、エンジニアリング プロセスを高速化する必要がありました。CAD とコードの専門知識に長けていた Johnson 氏と Rittenhouse
Johnson 氏と Rittenhouse 氏は、階段システムのモデリング プロセスを自動化する方法を構築する必要があると考え、利用可能なツールについて調査を開始しました。Rittenhouse 氏には CAD ソフトウェアの経験があまりありませんでしたが、間もなくして、実行可能な方法に出会います。それが Inventor の iLogic テクノロジーでした。
Johnson 氏はこう振り返ります。「私たちが『このプロトタイプを作成して負荷テストしたらどうなるか試してみよう』などと、ひたすら試行錯誤を繰り返していたときに、Len Morris 氏(会社オーナー)が、エンジニアリング部門が進むべき方向を示してくれたのです」
木製コンポーネントの製造工程(画像提供:Viewrail)
そこで両氏は階段の自動生成システムの構築に取りかかりました。厳しい納期のもと、Johnson 氏が CAD でのモデリングを担当し、Rittenhouse 氏が iLogic でコードを書きました。「私たちは、きわめてシンプルな階段の作成を目指しました。『まずはここまでやろう。すべて完成させる必要はない。簡単だ』という感じで、とにかく作業を始めました」と Rittenhouse 氏は話します。「でもその後は、『これもやる必要があるし、コード ルールに従っているかをチェックして、あれもこれもやらなければ』という風に、やるべきことが次々と分かるようになりました」
シート メタル ブラケットの製造(画像提供:Viewrail)
Johnson 氏と Rittenhouse 氏は iLogic で反復作業を続けながら、新たな課題が現れるたびに機能を拡張していきました。「そうやって開発を進めた結果、階段の自動生成システムが完成しました。今では、数値を入力してボタンを押せばほんの数分間ですべてのパーツが生成されます。そして顧客のリクエストに応じて階段システムの種類を変更したり、配置方向を変更したり、ステンレス鋼か外装階段か、といった設計条件に応じて変更を加えたりできます」と Rittenhouse 氏は話します。
「そうした設計条件をすべて解決した上で、顧客から提供される紙の図面や製作図面と組み合わせて完成させます。さらに最近は、製造用のマシンコードもそこへ組み込みます」
私たちはこのプロジェクトで iLogic に出会い、その能力や機能、莫大なパワーを知り、すっかり惚れ込みました。今では、何かを始めるときにまず、「必要に応じて iLogic を適用できるように、スマート設計でこれを作成するにはどうすればよいか?」を考えるようになりました
—Viewrail 社, COO(最高業務責任者), JJ Johnson 氏
Rittenhouse 氏と Johnson 氏が、さまざまな自動化オプションの中から iLogic テクノロジーを選択した理由は、3D モデリングに関するさまざまなメリットにありました。Inventor で設計するとモデルを物理的に再確認できるため、受注から生産までの作業を、確実かつ迅速に、安心して進めることができます。
Autodesk Inventor で階段システム全体をモデリング(画像提供:Viewrail)
「私たちは今、すべてを 3D に移行しています。ガラスの図面を作成する担当者も自動生成システムを開き、階段システムに直接ガラスを描くことができます。このシステムはエンジニアたちにとって、色々試せるフレームワークとなります。製造予定のものに直接描き込んでいくことができるので、非常に便利です。顧客の家に納品されるまでにすべてが 1 つにまとまるのです」と Rittenhouse 氏は話します。
Viewrail は Inventor の自動化機能によって階段の自動生成システムを強化し、大きな成功を収めました。
中央ビーム、木製コンポーネント、シート メタル ブラケットで完成したアセンブリ(画像提供:Viewrail)
数人でのプロジェクトとして始まった取り組みは 21 人の強力なチームへと拡大し、Johnson 氏は現在、研究開発、エンジニアリング、自動化および製品開発を包括的に行うグループを率いています。チームの作業プロセスは、階段の自動生成システムによって一変しました。設計の作業時間が短縮されたことで、製品のイノベーションに取り組むことができるようになったのです。
「私たちの目標は、営業チームが決して制約条件を逸脱しないような体制を築くことです。それができれば、すべてをしっかり管理できるので素晴らしいのですが...。私たちが自動生成システムで設計を完成させると、営業チームや顧客は販売ルールを拡大解釈し始めて何か珍しいことをしたいと言い出します。つい昨日も、12 フィート幅の踊り場が欲しいという 2 件の仕事に対応しました。階段システムにしては、これは非常に広いスペースです」と Johnson 氏は話します。
「私たちの会社は急成長しているため、迅速に業務に対応する必要があります。市場のニーズにすばやく応えるアジリティと対応力が、とても重要なのです」
Product Design & Manufacturing Collection が提供する自動化ツールは、目標の達成とともに成熟していくスケーラブルなソリューションです。コレクションに含まれる製品は、カスタム製品のコンフィギュレーター、図面作成、ツールパス、シミュレーションのセットアップなど、さまざまな作業に適用する規則を定義する上で役立ちます。